岡山ビジネスカレッジ「eスポーツビジネス学科」学生たちによる「東京ゲームショウ 2022」職業体験レポート - 「来場者の方が喜んでくれた!」現場のリアルを「体験」した学生たちの本音とは?
リアルイベント会場で学生たちの「職業体験」を実現!
以前、デスクトップPCやディスプレイ、キーボードなど授業に必要な機材をASUS製デバイスで一括導入した事でも話題になった、岡山県岡山市の専門学校、岡山ビジネスカレッジの「eスポーツビジネス学科」。ASUS JAPANでは機材の導入だけで終わりではなく、その後も何か学生たちの役に立てないかと、同校を「ASUS協力校」として共同でイベントを開催したり、特別授業を実施するなど、様々な形での産学連携の取り組みについて模索してきた。
このたび、2022年9月15日~18日の4日間、久しぶりに幕張メッセでのオフライン開催が実現した年に1度のゲーム業界のビッグイベント「東京ゲームショウ 2022」において、同イベントに出展したASUS JAPANは、実際のイベント展示の雰囲気を肌で感じたり、イベント現場の実情を知ってもらう事が学生たちにとって貴重な体験になるのではと考え、この度、同社としても初となる「職業体験」を提案。これに応募した多くの学生たちの中から学校内での厳正なる審査を経て選出した3名の学生たちを東京ゲームショウに招待し、実際の現場での作業の一部を体験してもらった。
本記事では、新たな試みである「職業体験」の一環としてASUS JAPANのイベントブースを手伝ってくれたeスポーツビジネス学科1年生の江尻翔夜さん、西原空汰さん、竹部響さんの3名及び、同校講師を務める佐倉涼太先生を含む4名に会場で取材。大規模なイベントに出展するASUS JAPANの「職業体験」について、今回応募した経緯や実際の現場での感触、そこから得られた物などについて話を伺わせて頂いた。
イベント参加に意欲を燃やす学生たち3名が現場で大奮闘!
――この度は休憩時間にお時間を頂き、ありがとうございます。先ずは簡単に「eスポーツビジネス学科」についてどのような学科か教えてもらってよろしいでしょうか?
佐倉先生:
本校、岡山ビジネスカレッジは総合的なビジネスの専門学校なのですが、「eスポーツビジネス学科」はその中の1つです。近年、eスポーツが流行し、注目されている経緯がありますので、このeスポーツを活用して、専門スキルだけでなく、ビジネススキルや人間性、社会性を磨くことができないか?というところから始まりました。私自身もプロゲーマー時代がありまして、プロゲーマーにとってはゲームのスキルだけではなく、ビジネススキルなども必要になってきますので、こうしたビジネスに繋がるスキルをカリキュラムに組み込んで、プロeスポーツプレーヤーを目指すだけではなく、イベントスタッフや、ストリーマー、ゲーム実況、プロチームのマネージャーといったところをターゲットとして、就職を目指したい学生向けの学科となります。
――なるほど。では皆さんは、それぞれどんな感じのビジョンを持っていらっしゃるのか伺ってもよろしいですか?今の話の中でも選手だけを目指す学科ではないということで、 どういった関わり方をしたくて「eスポーツビジネス学科」に入られたのかが聞きたいです。
竹部さん:
はい、僕はイベント企画をやりたくて入りました。今の現状ですとeスポーツって親御さんの世代からはあんまり良くない印象を持たれがちなので、 僕らの世代が率先してeスポーツのメリットはここだよとどんどん発信するようなイベントを実施していくことで、eスポーツ業界が良くなるように、イベント企画を通じて、eスポーツイベントを盛り上げると同時にeスポーツの印象を良くしたいと思っています。
西原さん:
僕は高校時代にeスポーツ部に入っていて、そこでeスポーツをやってきたんですけど、 うちの高校にはeスポーツ部の顧問の先生はいても、それを指導できる先生がいなかったので、自分たちで情報を調べたりして活動していました。その時に色々と情報を調べる中で、そういうのが楽しいなと思って、プロチームの中でのコーチじゃないですけど、そういうチームに携われる仕事ができたらいいなと思って入りました。
江尻さん:
自分はこの中ですと2つ年上でして。岡山ビジネスカレッジに通う前に、広島のデザインの専門学校に行っていたんです。0から1を作るとかそういう物を作る事について自分の中で考えるのが好きだったんですけど、デザイン1本で行くと考えた時に、なんかちょっと自分とは合ってないなっていうことを思い始めていました。ちょうどその頃、元々の自分の趣味だったゲームが岡山で「eスポーツビジネス学科」という形で岡山に学科が出来るという事を聞いたので、そこでちょっと学んでいくうちに将来、eスポーツ関係のイベントスタッフだとか、イベント企画をやってみたいなって思って。そこで、学校の行事としてeスポーツが関連したイベントをいくつか出したんですけど、みんなで考えた企画を一般の方に向けて公開してで、自分たちがイベントスタッフとしてやっていくことで、あの帰っていく来場者の方々が満足そうにしていたり、「楽しかった」っていう言ってもらえることがすごく嬉しかったんです。なので、今の自分の目標は、eスポーツ関係のイベントスタッフだとか、イベント企画を行なう会社を目指しています。
――ありがとうございます。正直言っていいですか。3人とも受け答えがしっかりしていて、既に“プロ”並みですよね(笑)。で、今回、ROGの配布物としてバッグを配ったり、ブース内まで案内するというようなお手伝いをしてもらったわけですけど、実際に来場者と接するお仕事をやってみてどうでしたか?
江尻さん:
正直な話、最初のうちはちょっと緊張しまくっていて、あまり言葉が出なかったんですけど、受け取ってくれた方が「やった!」とか言ってくれたんですよ。そういう言葉を聞くとなんか緊張も和らいできて、どんどん頑張んなきゃなっていう思いが湧いてきました。
西原さん:
来場者に配布物を貰って頂くこと自体は、結構な確率で受け取って貰えていたんですけど、恐らく他に行きたいブースがあって行き道でバッグが貰えるからとさっと貰ってくれる来場者だけでなく、興味を示して止まってくれる来場者の方もいて、そのような方には「よかったら見ていって下さい」と声を掛けてみたら、すっとブースに入ってくれまして、ちょっと嬉しい気持ちになれました。自分の言葉がきっかけで動いてくれたのがすごく嬉しいです。
竹部さん:
自分もちょっと2人と似ているんですが、ブースの前で立ち止まって「なんだろう、これ?」みたいな感じで一緒に来てる方と話している声が聞こえたら、自分から配布物のバッグをプレゼントしに行って「よかったらどうぞ」とか「ゆっくり見ていってください」などと声を掛けてみたら、ブース内に入ってゆっくり楽しんでもらえました。配布物のバッグも結構な量があったんですけど、やっぱり自分が頑張れば頑張るほどその減っていくスピードも早くなるし、ということで、やっぱ達成感が1番に味わえていい経験になりました。
――先生は、今日の現場体験において、参加した学生さんたちにどのような効果をもたらしたとお考えでしょうか?そういえば今日は先生自身もお手伝いされてましたよね?
佐倉先生:
そうですね、本校にもイベントを実際に企画運営するカリキュラムがあるんですけど、今回はいわゆるプロの方とご一緒して、簡単ではありますけど設営など、様々な現場の実情を見させて頂けた経験や、プロならではの技術が学べたと思います。もし自分たちも次に地域の方々に来て頂くようなイベントを開催する際には、今日学んだ経験や、教わった技術を活かしてみたいですね。彼らは今1年生なんですけど、今後2年生になった時には後輩たちにも引き継いでもらいたいですし、さらにこうした職業体験を今後も続けていけるのであれば、次の1年生たちにも思いを託していき、「eスポーツビジネス学科」をどんどんいい学科にしてもらえたらなと思っています。
――ところで、ここでちょっと趣向を変えた質問をさせてもらいたいんですけど、皆さんは「eスポーツビジネス学科」にいらっしゃるので、やっぱりゲームがお好きだったりしますよね。普段どんなゲームをやっているのか聞いてもいいですか?
竹部さん:
僕はFPS(ファーストパーソンシューティング)、銃を撃つゲームを主にやっています。FPSというと、なんか銃とか撃って物騒じゃないと言われる事もあるんですけど、そんなことはあんまりなく、戦略とかがいっぱいあって、そういった戦略を考えるのが好きなんです。そこでチームとかにも入って仲間と遊んでいたんですが、戦略を考えていると仲間と喧嘩になる場合もあるんですね。そういったチームでゲームを続けた結果、僕はみんなの意見を取り入れてまとめるのが得意になったので、FPSをやっていてよかったなと思いました。
――あ、ゲームの体験だけでなく、それがプラスになっているんですね!
西原さん:
自分が高校でeスポーツ部に入ってる時には、MOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)というジャンルのゲームをプレイしてました。それまではずっとFPSをやっていたし、eスポーツというより友達とただゲームをして遊んでるだけって感じだったんですけど、実際部活に入って、大会に出るためにeスポーツという形でやり始めた時に、実際にプロがやっている試合を見たり、自分たちで戦略を考えてなどやっているうちに、楽しさだけではなく、勝つためにはどうしたらいいのかを考えるようになりました。自分はeスポーツはMOBAでやっているのが楽しいですね。
江尻さん:
自分の場合、遊ぶゲームの系統はバラバラで、友達みんなでゲームを持ち寄って、みんなでワイワイすることが好きなんですね。その中ではFPSもホラーゲームやMOBAも遊ぶんですけど、そこで新しいことを始めたら、新鮮味があるとか、 今まで使ってた戦略が通用しないから、別の戦略を考えようっていう柔軟な発想にもなったり。また、遊ぼうとしたゲームを知っている人が仲間にいないから、SNSで知っている人を見つけようって誘ったり。で、初めて会う人でも自分から話しかけることでコミュニケーション能力の向上にもなったりしています。
――みんな、ゲームをただ好きなだけじゃなくて、そこから色々学ぶところが多かったり、色々繋げたりとかしている考え方がすごいです。最後に皆さんには、この先就職してどういう形でeスポーツビジネスに関わっていきたいかといった、将来のビジョンのような物がもしあれば教えてほしいです。
竹部さん:
僕はイベントを企画したいので、イベントを企画するようなところにいきたいです。eスポーツイベントで、今の現状を変えていきたいと思ってます。
――ちなみに、どれぐらいの規模感のイベントをやってみたいですか?
竹部さん:
今のところ僕考えているのは地元、僕、岡山から来たんですけど、岡山県の駅でイベントを起こして、岡山県民の認識を変えるところから始めたいなと思ってます。
西原さん:
自分は元々eスポーツのプロチームの中というか、プロチームに関連する仕事をしたいなと思っていたんですけど、 正直、今の日本ではプロeスポーツのプロっていうのが、そんなに多くないので、プロチームに関わること自体が厳しいのは理解しています。
ただ、学校で色々学んでいるうちに、eスポーツの大会を運営するようなイベント会社や、デバイスメーカーさんが今回「東京ゲームショウ」に出展しているみたいに、デバイスメーカーの立場でイベントに参加する事もできるんだと知りました。なので、自分たちが会社で開発したり販売しているデバイスを、プロの選手に使ってもらうなど、直接プロに関与しなくても、間接的にプロの人たちに携わる仕事はできるのかなと思っています。
もちろん1番はプロチームの中で働きたいっていうのはあるんですけど、もしそれが叶わなかった時というか、それが厳しいってなった時は、eスポーツに関連できるようなデバイスメーカーだったり大会の運営だったりっていう方の進路を目指していきたいかなと考えています。
――確かに、プロチームの中に入ってお仕事できれば1番いいけど、そこってなかなか入り口が難しそうですし、そもそもまだ人口が多くないので、現状ではなかなか狭き門だと思いますが、頑張ってほしいです。
江尻さん:
今の考えで言ったらイベント企画の道に進む方向性の方がちょっと大きくなるんですけど、やはり今はコロナ禍でどんどんeスポーツだとか、ゲームが伸びてきていますよね。ですが、自分の子供にゲームを買い与えると、子供がゲームに熱中しすぎて、親御さんとの会話が減るだとか、部屋から出てこなくなっただとかという話も聞きます。ゲームがきっかけで親子関係の絆というか家庭環境がちょっと前と変わってしまうというのが現状としてあるので、その問題解決のために何ができるのか考えたいというのはありますね。
あと自分が子供だった時にゲームをしていたら、おじいちゃんやおばあちゃんからゲームをしすぎだと怒られていて、一般的に見てご年配の方からはゲームってあんまりいい印象は持たれていないので、そういったゲームへの印象をどんどん変えていけれたらなと思っています。
――社会問題にまで踏み込んで考えているとは!驚きました(笑)。今日は忙しい中、貴重な休憩時間を割いてくれてありがとうございました。
東京ゲームショウ会場でのインタビューは以上となる。また、後日、オンラインミーティングの席にご同席させてもらい、会場での職業体験の感想などについて再度お話を伺ってきた。
――今回の職業体験では、配布物のバッグを配る以外にどのような作業をやりましたか?
江尻さん:
来場者の方に、ブースの写真を撮って頂いて、Twitterを使って写真とハッシュタグを投稿してもらうキャンペーンへの参加をお願いする声掛けをしました。
竹部さん:
同じく、Twitterのキャンペーンの声掛けやキャンペーン用のポスターパネルを掲げるお手伝いなどをやりました。
――今回の職業体験についてですが、事前に目標を立てたりしてましたか?また、それは達成できましたか?
江尻さん:
当初は裏方としか聞いていなかったので、初日でバッグ配布など、作業の内容を把握してからは、予め配る量が決まっていたので、その配分を考えたりと、仕事をより効率的に進めるという形で毎日目標を立てました。そして自身の目標は達成できたのですが、来場者数が多くてまだまだ目標設定が低すぎたのかもしれません。
西原さん:
参加する前は詳細が把握できていなかったので、特に目標は立ててませんでしたが、実際に参加して仕事内容を見てからは、フォローしようとか、毎日の反省と目標を立てる形で進めました。ノベルティのバッグを配るのは慣れるとスピードも上がってきましたし、キャンペーンの声掛けなんかもやるうちに慣れてきてたくさんできたと思います。
竹部さん:
行く前から考えていたのは、自分は流されやすい性格だったので、この体験を通して、自立した考えを持とうという目標を持って参加しました。もし社会に出た時に、自分の手が空いた時に自分から何かする、というのを目標として、手が空いたらスタッフの方の様子を見て仕事を探しにいったり、まだ配り切れていない他の人のバッグをもらいにいくとか、控室の台を片付けるなど、それなりに実行に移せていたと思います。
――今後、岡山でイベント開催などに向けて活かせそうな事は何かありましたか?
竹部さん:
今回配布したバッグについて、そのサイズやデザインなどについて色々と裏事情が聞けたのですごく勉強になりました。もちろん自分たちのイベントではそこまでできるか分かりませんが、できる範囲で参考にしたいと思います。
西原さん:
自分もバッグの話がとても勉強になりました。
竹部さん:
他社のブースを回っていた時に気が付いたことなんですが、帽子のようなかわいいバッグを配っているブースがあったんですよ。そのブースで紹介しているゲームについては全然興味がなかったんですが、その帽子のデザインがかわいくて印象的だったので、もらいにいったらゲームの事も覚えてしまいました。なのでこういったイベントでは「印象に残る物」ってすごく重要なんだと思いました。あとはセガのブースにでっかいソニックがいたんですけど、セガブースの写真を撮るとどの角度から撮ってもソニックが写るんです。このように印象に残る物をブース内のどこかしらに置くという見せ方を学びました。
――4日間を通しての感想や反省点、衝撃だった事、また今回のROGの展示についての改善点などあったらお話聞かせてください。
江尻さん:
ここまで大きいイベントに参加する機会は今までなかったので、どの人に声掛けたらもらってくれたかな、というようなどのように近づけばいいか、などで苦労しました。Twitterキャンペーンの声掛けについては、写真撮ってる人を見かけたら、「その写真でできるんですけども」とか「思い出の1つで参加してみたらどうでしょう?」といった形で声掛けすることで流れが変わったんです。当初は声掛けの効果に最初は疑心暗鬼だったんですが、ちょっとした1声2声で印象が変わるですね。
衝撃だったのは配布物のバッグの減る速さですね。ビジネスデーでも「あ、こんなすぐなくなるんや」と感じたんですが、一般の入場者が来たらガッとさらに早くなくなりました、さらに3日目はこちらから何もしなくてもどんどんなくなりましたね。
とにかく自分のことで手一杯でしたので改善点などは特にないのですが、ROGは Apex Legends ご来場の方はやはり多いので、エヴァのコラボPCとかモニターなど注目される製品は体験行列ができており、注目製品の試遊機を増やした方がいいかもしれません。
竹部さん:
家に帰ってからの事なのですが、現在アルバイトをしているんですけど、バイト中の声掛けが怖気づくことなくできるようになりました!
とにかく初めての経験でしたが、多くの来場者の方々と触れ合って対応できたので、貴重な体験になりました。特にROGブースは扉が目の前だったので、一般入場者用の扉が開いた瞬間、すごい人の波が押し寄せてきてすごいなと思いました。バッグはすごい勢いでなくなっていくのが衝撃でした。ROGのブースは製品の体験と展示中心の展開でしたので、コンパニオンがいるともっと多くの来場者の方が立ち寄っていただけるのでは、と思いました。
西原さん:
自分は表から見えるイベントのスタッフしか知らなかったので、裏でバッグを用意したりと、来場者の立場からは見えていないところでのスタッフの方々の仕事している内容が、今回の職業体験に参加したことで、色々と見られてよかったです。
改善点についてですが、海外の来場者の方々から英語で声掛けされることが何度かありました。そのような時は英語が話せるスタッフにお願いしていたんですが、海外の来場者の方の質問はパンフレットの内容が日本語で読めないことが原因でしたので、海外の来場者の方向けのチラシもあればよかったかもしれません。
――ありがとうございました。4日間の長丁場、本当にお疲れさまでした!
職業体験で着実に成長を遂げた学生たち
以上、職業体験に参加した3人の学生たちの話をざっくりとまとめてみた。こうして改めて書き起こしていると、まだ専門学校1年生という若さながらも、考え方が非常にしっかりしているのに驚かされる。3人が3人とも将来のビジョンやeスポーツビジネスという物と真摯に向き合い、将来どのような形であれ、eスポーツに貢献してより広めていきたいという思いが会話の端々からもひしひしと伝わってくる。今回の職業体験を通して、彼らのeスポーツビジネスに関わっていきたいというモチベーションはこの上なくMAXに向かっているのは間違いない。
また、佐倉先生からは、視察中の彼らが日を追うごとに明らかに変わっていく様子も見て取れたというコメントも頂いている。佐倉先生によると、初日の視察は物販のブースを回ったりして、ただ楽しんでいるだけといった様子だったが、2日目以降はどうしたら来場者の方が立ち寄るのかなど、ブースの仕組みや興味について雑談の中で話すようになっていったのだという。
さらにはあのブースが小さいのに人が多い理由はこのような展示があるから、や、こういう仕掛けがあるので、あのブースには常に人が立ち寄るなど、視察の中から各人がそれぞれ色々な気付きや発見について雑談の中で語るようになっていったとしており、こうした彼らの成長について大変感激していたようだ。
他にも今回の東京ゲームショウの視察で初めてVRに触れて、VRがなぜ多くの人を惹きつけるのかを分析したり、職業体験以外の視察でも多くの気付きや経験が得られたようだ。
ASUS JAPANでは、同社のフルデバイス導入を実現した岡山ビジネスカレッジの「eスポーツビジネス学科」に対して何か支援できることはないかと、PCの内部構造についての特別授業を開催するなど、これまでも積極的にサポートしてきたが、これまで前例のない事ばかりのため、何もかも手探り状態で実施してきたのだという。
今回の「職業体験」についても、合同でイベントを開催した際に、佐倉先生を含め、学生たちの「eスポーツ業界で頑張るんだ」という熱意が凄まじく、生半可な気持ちでのサポートではダメだということで、今回の「東京ゲームショー 2022」での「職業体験」に踏み切ったのだとしている。
企業にとっても、専門学校にとってもeスポーツビジネスは未開の領域が多い分野だ。そのため、どのような形でeスポーツビジネスに携わっていけるかは、文字通り手探りの状態が続いているのが現状だといえる。
だが、若者たちの熱意とそれを補佐する専門学校や企業が増えていくことで、今後新たなノウハウやビジネスチャンスが増えていくであろう事は想像に難くない。eスポーツがこれまで以上に一般化する未来はすぐそこまで来ていると感じさせる若者たちとそれを補佐する「職業体験」の出会いは、eスポーツ業界にどのような突然変異をもたらすのか。願わくばその未来の中心に彼らがいる事を願うばかりである。