毎日使用デバイスを変えるガジェット系YouTuberがROG Aceシリーズを斬る!YouTuber・たこまる氏に聞くASUS最強eスポーツデバイスの魅力
ASUSの製品はクラスやデザインなどの特徴からいくつかのブランドに分けられており、中でも高機能ゲーミングモデルに位置づけられるのが「ROG」ブランドだ。PCパーツから周辺デバイスまで幅広く展開しており、高い性能と豪奢なデザインにファンも多い。
そんなROGから、新たなデバイスシリーズが登場した。「ROG Ace」と名付けられた本シリーズはROG初の“eスポーツコレクション”を謳っており、プロ向けの高性能なデバイスとしての立場を担うものとなる。今回発表されたのは、ゲーミングマウス「ROG Harpe Ace Aim Lab Edition」(以下、Harpe)、マウスパッド「ROG Hone Ace Aim Lab Edition」(以下、Hone)、ゲーミングキーボード「ROG Falchion Ace」(以下、Falchion)の3製品。
中でもHarpeとHoneは、エイムトレーニングソフトの「Aim Lab」とコラボレーションした機能が魅力だ。これらのデバイスをPCに接続してAim Labをプレイすると、自分に適した感度などの設定ができたり、エイム練習をしやすくなったりといった機能を持っている。ROG Aceシリーズの製品については、ASCII.jpの記事(https://ascii.jp/elem/000/004/125/4125643/)でレビューしているので、そちらも参照してほしい。
そんなROG Aceシリーズについて、今回、YouTuberの「たこまる」氏にインタビューする機会を得た。たこまる氏は、ゲーミングデバイスのレビューからPCのセール情報まで、デジタル関連の情報を発信している。ASUSのデバイスについてのレビューも以前から行っている。
そんなたこまる氏の目から見て、ASUSがeスポーツプロ向けに作ったROG Aceシリーズはどう映ったのか。お聞きしていこう。
●インタビュイー:たこまる
ガジェット系YouTuber。チャンネル登録者数32.9万人(2023年3月29日時点)。PC周りのデバイスや、自作PC、テレビ、プロジェクターに至るまで、デジタルガジェットに関わる幅広い情報を発信している。デバイスレビューで公平な立場を貫くため、毎日デスク周りで使うデバイスを変えて1つの製品に馴染みすぎないようにするというこだわりっぷり。
↑たこまる氏によるROG Aceシリーズのレビュー動画はコチラ
エイムトレーニングソフトとのコラボという新しい視点
――本日はよろしくお願いいたします。今回発売されたROG Aceシリーズについて、ファーストインプレッションはどのように感じましたか?
たこまる氏:ゲーミングデバイスについて、これまでもゲームタイトルとのコラボなどはあったと思うのですが、トレーニングソフトとのコラボというのは珍しいです。大手のデバイスメーカーなどは、プロゲーミングチームのスポンサードなどがすでに進んでおり、市場的にブランディングが難しくなっている中で、こういったアプローチは新しいと思います。トレーニングソフトとなれば、よりエイムにこだわる人が使うものなので、そうした人と本製品は親和性が高いと思います。
――今回のHarpeについて、他の製品と比べて感じた強みなどはありますか?
たこまる氏:昨今人気のFPSやTPSなどで使いやすいデザインというところで、万人受けするタイプかなと思っています。昨今は業界的に軽さが重視されるようになっていますが、とはいえ40g台とかの最軽量クラスになってくると、逆に軽すぎて人を選ぶ場合もあります。Harpeは約54gということで、バランスの取れた重さかなという印象です。また、軽量でも十分な剛性があって軋みもなく、くびれが少ないという部分も多くの人に受け入れられやすい形状だと思います。逆に、形状などに特別なこだわりがある人には刺さりにくいかもしれません。
――いわゆる肉抜きというようなハニカムシェルを採用した軽量マウスもありますが、そういったマウスと比べて感触はどのように感じますか?
たこまる氏:手の垢が溜まりやすいといった欠点もあるので、重さがあまり変わらなければ、基本的には肉抜きされていないソリッドシェルデザインのほうが良いというのが共通の認識としてはあると思います。今回のHarpeは、バイオベースのナイロン素材を使用しているということで、他メーカーのプラスチック素材のものと比べると手が滑りにくく感じたのと、グリップテープも付属しているのでデザインや手触りを変えられるのも良いですね。
――HarpeにはAim Labとのコラボ機能として、自分に合ったマウス設定をソフトから提案してくれる「Aim Lab Settings Optimizer」があります。こちらを使ってみていかがでしたか?
たこまる氏:ただ単に「良いマウスを買えた」という体験だけでなく、エイムを見直す体験まで一緒に提供してくれるというのは、“ゲーミングマウス”というプロダクトに留まらない今までになかったものではないかなと思います。実際、自分で試してみると普段とは少し違った設定になり、自分はこっちのほうが合っているのかもと、エイムの仕方や設定について見直す良い機会になりました。
――ちなみに、Aim Labはこれまでにも使ったことはあるのでしょうか?
たこまる氏:はい。Aim LabやKovaaK'sといった有名なエイムトレーニングソフトはすでに以前からプレイしたことがありました。独自のソフトでなく、汎用的なソフトで利用できるとあって、そこは使いやすく感じました。
――HarpeはROGのデバイスにおいてもハイエンドに位置するので、価格も2万円前後と相応に高価です。この価格帯ですと、初心者にはなかなかオススメしづらいのではという印象もありますがいかがでしょう?
たこまる氏:私としては日ごろから、安いものを買ってすぐ壊れて買い直すくらいなら、最初から良いものを買って長く使えたほうが良いと話しています。実際に市場の売れ行きを見ても、高価なデバイスがしっかりと売れていますので、Harpeの2万円前後という価格帯も初心者需要はあるかなと感じます。
――ありがとうございます。続いて、マウスパッドのHoneについてもお聞きします。こちらを使用して印象深かったことなどはありますか?
たこまる氏:やはり、デザイン面ですね。特にAim Labとのコラボ感がしっかり感じられた部分が良いかなと思っています。目盛りが付いていたり、ソフトのロゴなどが右上に入っていたり、コラボの特別感を感じられるのがブランディングの観点から見てすごく面白いと思いました。普通のクロス素材と比べると、撥水性があるところなども特徴的だとは思います。
――Honeの目盛りについては、「Aim Lab X ROG 360 Task」という機能と合わせて使うことで、より練習効率を高められるというものですが、実際の印象はいかがですか?
たこまる氏:正直、あまり意識することはないかもという印象があります。もちろん目安にはなると思うのですが、ゲーム中に目盛りを見ながらマウスを振るというのは難しいので、結局は感覚頼りになってしまうんじゃないでしょうか。とはいえ、プロのようにミリ単位で調整する必要があれば、その限りではないかもしれません。そういう意味では、「Apex Legends」や「フォートナイト」などで重視される敵に照準を合わせ続けるトラッキングエイムよりも、「VALORANT」のような瞬時にエイムを合わせるフリックエイムを練習する際に有用かもしれませんね。
ホワイトカラーの流行に沿ったFalchion
――では、キーボードについてもお聞きできればと思います。Falchionについて、印象深かった点などはありますでしょうか?
たこまる氏:一番良いと思った部分はサイドのタッチパネルですね。65%などコンパクトサイズのキーボードは、FPSやTPSプレイヤーにとって需要があると思いますが、スペースの関係でメディアキーなどが使いづらく、普段使いにやや向かないイメージもあったと思います。サイドにメディアキーを実装するにしても、ダイヤルなどは見た目や実用性もあまりよくないという中で、あえてタッチパネルという形で実装したのは合理的だと感じました。
――デュアルUSB-C機能やカバーケースなど、他にも特徴的な部分がありますが、これらについてはいかがでしょうか?
たこまる氏:2つのデバイスを有線で繋ぎつつ、切り替えて使えるというのは面白いと思います。カバーケースについては、私自身はあまり使わないかなと思っていたのですが、動画のコメントで「システムベッドなどでベッドの下で使う際にも、ほこりをかぶらなくて助かる」といった意見があって、やはり環境によって感じ方も違うんだと目からうろこでしたね。
――Falchionは、ブラックの他にホワイトモデルも同時に展開しています。昨今、ゲーミング界隈でホワイトの製品も人気がありますが、色についてはどうお考えでしょうか?
たこまる氏:現在だと、ホワイトの製品がブラックと同じくらいまで売り上げが伸びているというお話もよく聞きますね。私の視聴者さんだと、ガチガチのゲーマーさんの他にも、ゲーミングデバイスの見た目が好きということで見ていただいている人もいらっしゃるので、そういった人にも魅力が伝わりやすいのではと思っています。
パーツ同様ハイエンド路線のイメージが浸透
――たこまるさんは数年前からASUS製品のレビューをされているかと存じますが、昨今のASUS ROGのデバイスに関して、感じていることはありますか?
たこまる氏:以前は、ASUSさんはどちらかというとPCパーツメーカーというイメージが強かったのですが、今回のコラボでデバイスにもしっかりと力を入れているということを発信できていると感じます。ROGシリーズのPCパーツなどはやや高価なぶん、製品としてのクオリティーはしっかりしているという印象が根付いていると思いますが、そのイメージをそのままデバイスのイメージにも持ってこられているのではないでしょうか。
――今後、ROGのデバイスについてどのような路線を期待していますか?
たこまる氏:価格競争だけの勝負になってしまうと、市場全体がコスト偏重になってしまうので、「安いほうが正義!」というような考えはあまり市場的にも良くないと思っています。そういった点では、クオリティーが良いものをそれなりの値段で売るというROGのブランディングは個人的にも好ましく感じています。今後も、こうしたデザインへのこだわりやコラボなどで、しっかりとしたクオリティーの良いものを作り続けているメーカーでいてほしいと、私としては思っています。
――ブランディングという部分を強く意識していらっしゃるように感じますが、ROGシリーズに関して、ブランディングでこうしたほうが良いのに、と思うような部分はありますか?
たこまる氏:少し“男性寄り”すぎる部分はあるかなと思っています。ゲーミング向けとして、ゲーマーが多い男性を意識しているのはあると思いますが、女性もとっつきやすいような可愛い系のシリーズなどもあれば、より裾野が広がりそうだなとは思いました。例えば、ホワイト系のデバイスを扱った動画では視聴者の女性比率も高く、そういった点からもホワイトのカラバリは結構重要かなと考えています。
――カラーという面では、ホワイト以外にもレッドなどのカラーを採用するデバイスもありますが、そういった製品のレビューの反響はいかがでしたか?
たこまる氏:主張の強い色だと、他のデバイスと合わせてデスク環境を作る時に、どうしても統一感に欠けてしまったり、デスク周りの色がうるさすぎたりといったことになるので、特殊な色でもちょっと淡い色のほうが好感触な印象はありますね。デスク周りもファッションのコーディネートに近い考え方で、強烈な色よりはやはり無難な黒白に近いほうが扱いやすいのではないでしょうか。
――もし今回のROG Aceシリーズについて、改善してほしい点や気になった点などがあれば、お教えいただけますでしょうか?
たこまる氏:Harpeについては、ホイールの出っ張りが低めだったのが気になる部分かなと思います。というのも、最近はホイールが出っ張っているマウスが増えているので、他に慣れていると違和感のある部分だとは思います。あと、これはHoneにも言えることなのですが、この2製品もホワイトのカラバリがあったらもっと良かったのでは、と思います。Falchionは2色展開しているので、同じシリーズで揃えるのにホワイトでは揃えられないのは残念に感じます。
――近年は、ゲーミングデバイスの売り上げにプロゲーミングチームや人気ストリーマーさんなどとのコラボが影響しやすくなっていますが、ASUS ROGシリーズでのコラボで期待するものなどはありますか?
たこまる氏:個人的には、マウスパッドとプロゲーミングチームのコラボなどが良いんじゃないかと思っています。比較的手が届きやすい価格なので、チームロゴなどがデザインされたマウスパッドであれば、性能というよりもグッズとして欲しがる人もより多くなるかなと思います。
また、性能面で考えるなら、やっぱりスター選手とコラボしたマウスなどは、需要はあると思います。他社製品でもありますが、勝ちにこだわるゲーマーの人なら、プロシーンで実績を出している選手が開発に関わったらどう変わるのか、という部分はかなり気になると思います。ただ、こだわりの強い人が作ったマウスは尖った性能になりやすく、万人受けしづらい製品にもなりえるのでそこのバランスは難しいだろうとは思います。
――最後に、今回のROG Aceシリーズの製品はどういった人にオススメか、改めてお聞かせいただけると幸いです。
たこまる氏:Harpeについては、誰にでも幅広くオススメできる製品だと思っています。Aim Labとのコラボや、ソリッドシェルで素材にこだわっているところなど、マウスにこだわりを持っている人にとってもバリューがある製品ですし、また軽量で左右対称な形状などは、初心者で初めてマウスを買うという人で、プロの声なども取り入れた良いものが欲しいという人にも受け入れやすいかなと思います。初心者はマウスの設定なども自分ではわからないと思いますので、ソフトが自動で設定してくれるというのも良いですね。
Honeについては、Aim Labを知っている人でないと特徴が活かしづらい部分がありますが、エイム練習をしっかりしたいという人、Aim Labがお好きな人などにはオススメできます。
Falchionは、2基のUSBポートが付いている点では、2つPCを持っていていちいち差し替えるのが面倒くさいという人。また、コンパクトなサイズでサイドタッチパネルによる利便性も確保しているという点で、ゲームで使いやすいものが良いけど、メディアキーなども頻繁に使う、という人に良いと思います。
ROGはeスポーツデバイス界に一石を投じるか
今回お話をお聞きしたところ、たこまる氏は自身の動画に寄せられたコメントや製品の売れ行きなど、市場の需要を詳細に把握してレビューしていることがわかった。そんなたこまる氏が、特に今回強調したのがブランディングだ。
その観点では、エイムトレーニングソフトとのコラボという新しい形でのブランディングを行ったROG Aceシリーズの試みは興味深い。ゲーミングデバイス戦国時代と言ってもいい現在、各社がそれぞれの戦略で製品を展開しているが、ASUSの今後のデバイス展開にもますます期待がかかる。
ASCII.jp 2023年3月掲載記事より転載