ROGノートパソコンの性能を限界まで引き出すMUXスイッチを新搭載
人と競うタイプのゲームでは、たった数フレームの差が勝敗を分けることがあります。我々は新しいゲーミングノートパソコンを開発するときに、毎回その数フレームの差を埋めるためにCPUとGPUの性能を限界まで引き出すための開発とテストを繰り返しています。そして今年はその新しい成果として、ゲーミングノートパソコンに1つのハードウェアを追加しました。2022年のROGゲーミングノートパソコンには、MUXスイッチを新たに搭載します。
MUXスイッチとは?
デスクトップのゲーミングパソコンの場合、ビデオカード(GPU)とディスプレイは直接接続されています。たとえば、GPUがゲーム画面(フレーム)を作り出すと、そのフレームはすぐにそのままディスプレイに表示されます(即座に表示されるのはG-SYNCまたはFreeSync対応時)。GPUとディスプレイの間に邪魔するものは何もなく、フレーム表示の遅れもありません。敵の動きも自分の動きも瞬時にディスプレイに反映されます。
しかし、ノートのゲーミングパソコンの場合は少し異なります。ゲーミングノートパソコンが搭載しているGPUは、出力したフレームを一旦CPUの内蔵グラフィックス機能に送り、そちらからディスプレイに出力します。このようにCPUとGPUが連携を行う理由は、バッテリー駆動時間を延ばすためです。最近のゲーミングノートパソコンでは、処理内容に応じてCPUの内蔵グラフィックス機能で処理を行うか、GPUのほうで処理を行うかを自動で切り替えるようになっています。GPUに処理をさせるまでもない軽い処理は、省エネなCPUの内蔵グラフィックス機能に行わせることで、バッテリー駆動時間を2倍以上に延ばすことができます。軽い処理であれば、多くの電力を消費するGPUを使う必要はないのです。
良いことばかりに見えるこの仕組みですが、実は少々欠点があります。すべてのフレームはCPUを経由して出力する必要があり、せっかくのGPUの性能を100%生かすことができません。経由したとしても十分な性能は出るわけですが、100%というわけではないのです。
そこで考えたのがMUXスイッチの搭載です。ASUSがMUXスイッチを初めて搭載したのは、実は2018年に発表を行った、当時の最上位のゲーミングノートパソコンです。それから時間が経ってしまいましたが、ついに2022年からはROGの全製品にMUXスイッチを搭載することができました。このマイクロチップによって、GPUはCPUを経由せずにディスプレイに直接フレームを出力できるようになります。ASUSのテストでは、MUXスイッチの搭載によってフレームレートが平均9%向上することを確認しています。また、レインボーシックス シージなどの一部のゲームでは30%以上ものフレームレートの向上を記録しました。
MUXスイッチのオンオフは、設定ソフトのArmoury Crateから行えます。オフにしておけば今までと同様にバッテリー駆動時間を延ばすことができ、オンにすれば最高のゲーミング性能を得ることができます。
Armoury CrateからMUXスイッチの切り替えを行う方法
MUXスイッチのオンオフを切り替えるには、Armoury Crateを起動して、画面の右下にあるシステム設定の部分を見ます。そこには、MUXスイッチオプションとMSHybridオプションがあるはずです。
MUXスイッチオプションでは、MSHybridモードとDiscrete GPUモードを切り替えることができます。初期設定ではMSHybridモードになっていて、GPUはCPUを経由してフレームの出力を行います。MUXスイッチオプションをクリックして設定をDiscrete GPUモードに切り替えることで、GPUはCPUを経由せずに性能を100%発揮できるようになります。なお、モード変更を反映させるためにはパソコンの再起動が必要です。
このように、MUXスイッチオプションを使うことで、バッテリー駆動時間を優先するMSHybridモードと、グラフィックス性能を優先するDiscrete GPUモードを簡単に切り替えることができます。
MUXスイッチオプションがMSHybridモードになっているときは、すぐ近くにあるMSHybridオプションからさらに動作モードを選ぶことができます。選べるモードは以下の通りです。
- スタンダード(初期状態):処理内容に応じてCPU内蔵のグラフィックス機能で処理を行うか、GPUで処理を行うかをWindowsが自動で制御します。軽い処理のときにはバッテリー駆動時間が延び、重い処理の場合にはGPUを使用して高い性能を発揮させることができます。
- エコモード:GPUを完全にオフにして、常にCPU内蔵のグラフィックス機能を使用することでバッテリー駆動時間を延ばします。
- 最適化:ノートパソコンがバッテリーで動作しているときはエコモードで動作し、電源に接続されているときはスタンダードで動作します。
※MUXスイッチオプションがDiscrete GPUモードのときには、MSHybridオプションはグレー表示になって選択できません。
ASUSでは、ゲーミングノートパソコンをもっと活用していただけるように、常に考え続けています。MUXスイッチはその成果の1つです。この機能を使えば、皆様のゲーミング環境はさらに充実するはずです。是非この新しい機能をお試しください。
最新の記事
ゲーミングノートパソコン VS ゲーミングデスクトップ :どのゲーミングパソコンがあなたに最適か?
ゲーミングノートパソコンとゲーミングデスクトップのどちらにすべきかは使い方や好みによります。ここでは、特徴や機能の違いごとにおすすめのマシンを紹介しているので、どちらを購入するか迷っているなら、参考にしてみてください。
ゲーミングノートパソコン vs 一般的なノートパソコン : あなたにとってベストな選択はどちらか?
自分にぴったりの一台を見つけるために、ゲーミングノートパソコンと通常のノートパソコンの違いを理解することは重要です。 ここでは、選ぶ際に知っておくべき特徴やおすすめのゲーミングノートパソコンを紹介しています。
ROG STRIX SCAR VS ROG STRIX G:eスポーツ向けの2つのROG ゲーミングノートパソコンの違いとは?
対戦型ゲームに最高のゲーミング・ノートパソコンは、ROG Strixシリーズに決定。
ROG STRIX SCARとSTRIX Gはトップを独走し続けて決して抜かれることはない
Strix SCARとStrix Gの2022年モデルはディスプレイのリフレッシュレートとハードウェアを一新し、今までよりもさらに上を目指します。
ROGノートパソコン液体金属グリス導入から5年間のヒストリー
ROG製品が冷却性能の限界を突破し続け、コンパクトなノートパソコンに高性能なハードウェアを搭載するという挑戦を今まで続けてこられたことその背景には液体金属グリスの存在があります。
ROGノートパソコンの性能を限界まで引き出すMUXスイッチを新搭載
2022年モデルではMUXスイッチの搭載でゲーミング性能がさらに上がります。